ベトナムの旅 15 ・ アメリカ軍を翻弄したクチトンネル(前編)

クチトンネルとは、ホーチミン市から約70km離れた所にあり、カンボジアとの国境付近まであります

アリの巣状に掘り巡らされ、全長は200kmもあると言われていいます

南ベトナム民族解放戦線、いわゆるベトコンのゲリラ戦法の拠点とも言える場所です


ベトナム戦争は南北ベトナム統一を狙う社会主義国家から支援された北ベトナムと、それに対抗する主にアメリカが支援した南ベトナムとの民族戦争でもあります

またはソビエトとアメリカの代理戦争と言った様相も呈していて、非常に複雑な各国の思惑も絡んでいます

ベトナム共和国(南ベトナム)政権内部は汚職まみれで、政策自体も大多数を占める農民から支持を得られる事はありませんでした

南ベトナム解放民族戦線(北ベトナム)と、ベトナム共和国軍(南ベトナム)との戦いでもあったのですが、最初は支援程度だったアメリカですが、その後アメリカは直接介入し実質的なアメリカ軍と南ベトナム解放民族戦線との戦いになったと言っても過言ではありません

以上の事からクチトンネルでのゲリラ作戦は、アメリカ兵を対象としたものと言えると思います


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何の変哲もない雑木林にトンネルは掘られていて、そこには学校、病院、市場、炊事場なども設けられていたそうです

また、様々なトラップ(仕掛け)があり、落とし穴や手製の地雷なども仕掛けてありました


10m~100mまでの体験用のトンネルもあり、実際に本当のトンネルに入る事ができます









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トンネルの断面とトンネル入り口付近







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小さなトンネルの入り口は、フタと枯葉でカモフラージュします


体の大きなアメリカ兵が入れないように、入口は非常に小さく作ってあります








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画像左はトンネルの空気孔です


トンネル入り口とは離れた所に、さりげなく空気を取り入れる穴があります









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ゲリラ戦法の代表的なトラップ、落とし穴です(再現したもの)

穴はやや深く掘られていて、アメリカ兵が落ちると下には鉄の針があって串刺し状態になります


即死はしないものの、仲間は助けたくとも穴が深くて助けられないし、結果的に致命傷になって絶命します


実際にアメリカ兵が落ちて死ぬと言う事も重要ですが、それを見た無傷のアメリカ兵が精神的に参って戦意喪失する、逃げてしまうと言う効果の方が大きかったようです









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アメリカが落とした爆弾の不発弾を改造し、手製の爆弾や地雷を作っていました


少し手元が狂えば爆発し、周囲の人々は全員亡くなってしまいます


ですが、物資が無いので命を懸けて不発弾を改造し、手製の地雷などに作り替えていたそうです









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手製の地雷で破壊されたアメリカ軍の戦車です


少し長くなってしまったので、続きは後編で紹介します

この記事へのコメント

2015年06月13日 01:18
何か言葉にならないですね…。
欧米人の参加者もいるようですが、どんな感想を持ったのでしょうね
2015年06月14日 09:28
神妙な面持ちで話を聞く欧米人も多いのですが、中にははしゃいで遠足気分も一部いましたよ・・・
またあとで紹介しますが、ベトナム戦争証跡博物館ではしゃいで記念撮影している欧米人やイスラム教徒と思しき女性もいました
これにはいったいどういう神経をしているんだと、呆れるを通り越して悲しくなりました・・・
2015年06月16日 18:52
ベトナム戦争の経緯はドキュメントやら落合の小説などで見聞きしていましたが、ゲリラ戦の詳細はあまり知りませんでした、どちらかというとアメリカサイドでのものが多かったような気がします
これだけ堅牢なものだったのですね、これは手こずる訳ですね
ベトナム戦争での米側の精神疾患や後遺症は映画にもなっているくはいで有名ですが、これはやはり気が狂ってしまうのも無理からぬことですね
大変勉強になりました🐷
2015年06月16日 22:41
物凄い蒸し暑さの中、軍服&重装備をしているだけで大変だと思います
更に命の危険が常に付きまとうとなれば、普通の精神ではもたないでしょうね・・・
自分も今回はアメリカサイドではなく、ベトナムから見たベトナム戦争の実態に迫れればと思っていました
ただそこはやはり社会主義国家、ガイドさんも微妙に言えない事があるようなニュアンスでした
観光で来てくれた外国人に、不快な思いをさせないって配慮だったのかもしれないんですけどね・・・
2015年06月18日 23:38
宗教戦争、イデオロギーの戦い、文明の衝突、この先どんな戦が。。。

西洋人が移っている画像が有りますが、アメリカの方はいるのでしょうか?
2015年06月20日 03:33
ハイ、アメリカ人らしき方はかなり見学に来ていました
皆さん神妙な面持ちで見学していましたが、ごく一部笑顔で記念撮影している人もいましたけどね・・・

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